研究の概要
各専門コース・専門外来において、臨床上の問題から着想を得て、診断・治療に結びつく基礎的研究を行っています。 組織学、組織化学、 超微細形態、電気生理、細胞生理、誘発電位、病理、分子生物学、組織培養などの研究室を耳鼻咽喉科学教室に構えています。 脳磁図などを含めた認知科学、言語等の研究室も感覚・運動神経科学部門に備えています。 学内のみでなく学外・国外の他教室・施設にもご協力頂き、耳鼻咽喉科全般にわたる研究および中枢聴覚・認知言語など各種の研究を行っています。 特に関連領域との共同研究を重視しており、積極的に対応しております。 共同研究の申込みは山岨教授まで直接ご連絡ください。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
臨床と基礎研究に分けて紹介する。臨床研究は病院の専門外来を中心に行なっており、対象は新生児~老人の感音難聴、外中耳疾患、 人工内耳と聴覚・音声・言語発達、顔面神経麻痺、副鼻腔疾患、鼻アレルギー、嗅覚障害、味覚障害、音声障害、嚥下障害、 めまい・平衡障害、頭頚部腫瘍などである。基礎研究は組織化学、分子生物学、電気生理学に重点を置き、 教室の研究室および国内外の共同研究施設と協力して行っている。
主な基礎研究は、遺伝性難聴・老人性難聴など感音難聴の発症機序の解明と予防・治療法の開発、乳幼児の難聴の早期診断・鑑別診断法の開発、 音源定位、脳磁図・聴覚誘発電位による聴皮質の研究、内耳へのdrug delivery systemの開発 (protein transduction domain、nano-technology)、 内耳遺伝子治療、内耳有毛細胞再生、蝸牛神経・ラセン神経節の発生・再生誘導、人工内耳患者の聴覚認知・音楽知覚、 ABI(聴性脳幹インプラント)の開発基礎研究、前庭頚筋・外眼筋電位の起源の解明・臨床応用、前庭神経節の電気生理、 先天性平衡機能障害児の平衡の発達、嗅神経の分化・発達・老化、嗅上皮の障害機序と予防、鼻アレルギーのモデル作成・評価システムの確立、 鼻粘膜のremodeling、頭頚部腫瘍の発癌機構・発癌抑制機構の解明、頭頚部腫瘍の免疫治療の開発、高速ビデオ撮影等による音声障害評価システムの確立、 嚥下圧モニター等を用いた嚥下障害の多角的評価システムの開発、音声障害・嚥下障害の手術法の開発、ロボット手術の開発 など。
感覚・運動神経科学
音楽の認知、先天性高度難聴児の人工内耳術後の聴覚・言語・音声の発達、音源定位の知覚、絶対音感などを研究している。
例) 事象関連電位のP300とN400の音楽刺激での
記録による音楽の認知機能
脳磁図による音楽の認知機能の脳局在性の解明
言葉・音楽・環境音の認知
光トポグラフィーによる聴皮質反応のイメージング
音源定位・音像定位の知覚
音源定位と移動知覚
盲者と音像および音源定能力
人工内耳と音源定位の知覚 など