めまい・平衡障害グループ Vertigo/Dizziness – Dysequilibrium Group
チーフ:藤本千里
メンバー:木下淳、鴨頭輝、岡峰子、一條研太郎、甲田研人
臨床研究では、耳石器・半規管機能検査を用い新しい疾患概念の構築とその臨床的特徴の検討、経皮的前庭電気刺激を用いた新たな体平衡機能障害の治療法の開発等の研究を行っています。基礎研究では、内リンパ水腫の病態解明、前庭神経節細胞の障害予防、前庭有毛細胞の再生・機能維持等のテーマで行っています。主な研究テーマを以下に列挙します。
臨床研究
① めまいの診断に有用な新しい検査法の開発
めまいの診断に有用な新しい検査法の開発に取り組んでいます。我々は、末梢前庭障害を簡便に評価可能な体平衡機能検査としてラバー負荷重心動揺検査を開発しました。本邦では、重心動揺検査の負荷加算として診療報酬の算定がされております。
- ラバー負荷重心動揺検査の開発と臨床応用
- 機械学習を用いた前庭障害診断システムの開発
② めまい症状を呈する新たな疾患概念の確立、および、その臨床的特徴の分析
近年、前庭誘発筋電位検査(VEMP)の開発による耳石器機能評価の発展、video head impulse testの開発による半規管機能評価の発展といった、新しい前庭機能検査の開発・臨床応用に伴い、既存の疾患概念に当てはまらない新しい耳性めまい疾患が報告されつつあります。よって、これまで診断がつかなかっためまい疾患の一部に、新しいタイプの前庭障害が含まれる可能性が考えられるようになってきました。一方で、そういった疾患群の臨床的特徴については、不明な点も多く、確立した治療法も存在しません。我々は、このような新たに確立されつつある疾患概念の臨床的特徴について、分析を行っております。
- 耳石器機能障害の臨床的特徴についての検討
- 特発性両側性前庭機能低下症の耳石器・半規管機能に基づいたサブタイプ分類、および、これらの臨床的特徴についての検討
基礎研究
① 内耳障害予防、細胞内品質管理、加齢変化のメカニズムの解明
聴覚・前庭平衡覚の感覚細胞である内耳有毛細胞は、哺乳類においては細胞分裂せず一度障害されると機能的回復は困難であり、その生存・恒常性維持が非常に重要です。我々は、このような内耳有毛細胞の恒常性維持、細胞内品質管理のメカニズムについて、研究を行っています。
- オートファジーによる内耳有毛細胞維持機構の解明
- 内耳におけるミトコンドリア機能定量評価法の確立
- 前庭神経節細胞における神経栄養因子の障害予防効果
② マウス前庭系の新しい機能評価法の開発
我々は、マウス前庭系の新しい機能評価法の開発に取り組んでおります。また、確立した実験系を用い、前庭系の機能解析、前庭障害の病態解析、および、ノイズ前庭電気刺激による前庭障害治療のメカニズム解明を目指します。
- マウス前庭誘発脳幹電位の開発(特許取得)
- マウス前庭系のin vivo imaging法の開発
- ノイズ前庭電気刺激マウスの神経活動の解析
- 新しい前庭障害モデルマウスの開発