論文紹介:ハイブリッド人工内耳の長期成績

[耳チーム] アイオワ大のBruce Gantz教授の”Acoustic plus electric speech processing: Long-term results.(残存聴力活用型人工内耳の長期成績)“という論文を読みました。

ガンツ教授は、今月末の第119回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会で特別講演されます*1

Gantz BJ, Dunn CC, Oleson J, Hansen MR.
Acoustic plus electric speech processing: Long-term results.
Laryngoscope. 2018 Feb;128(2):473-481. 

従来の人工内耳では、蝸牛に長い電極を挿入するため、残存聴力の温存はできませんでした。そこで現在では、補聴器と人工内耳が一体となったハイブリッド人工内耳というものが開発され、低音域に残存聴力がある症例に対して使われることが多くなってきています。ハイブリッド人工内耳により、雑音下での聴取能の改善や、音楽をたしなむことが可能となりました。

本論文はハイブリッド人工内耳の開発者・推進者の一人でもあるガンツ教授が、この人工内耳を入れた患者の15年後までの長期成績(聴力の推移)について調べた論文です。要約はこちらで読めます。

ガンツ教授は、ハイブリッド人工内耳の短い電極の挿入により聴力の温存が可能であり、静寂下・騒音下の両方での聴取能の改善を認め、その効果は長期間にわたり維持されると結論付けています。

*1招待講演(耳鼻咽喉科領域講習)

5月31日(木) 15:50~16:50
Hybrid Cochlear Implantation Long-Term Outcomes: Insights into the Future
司会: 髙橋 晴雄(長崎大教授)
演者: Bruce Gantz(アイオワ大教授)

※英語⇒日本語の同時通訳が入ります。

投稿者:勝然 昌子/webmaster