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めまい外来は、毎週金曜日の午後に診療を行っております。ENG検査(電気眼振図検査)は月曜日の午後にも行います。年間の初診患者数は300例を超えており、日本耳鼻咽喉科学会専門医の資格を有し、めまい診療を専門とする医師4~5名のチームで診療に当たっております。また日本めまい平衡医学会専門会員が当外来を運営しています。原則として、初診時は午前中の一般外来にて聴力検査や一般的な診察をさせていただいた後、 後日、めまい外来を予約受診していただくことになります。
平成25年めまい外来初診患者339名の疾患内訳
- ステロイド(デキサメタゾン)鼓室内注入療法
- ゲンタシン鼓室内注入療法
- 浮遊耳石置換療法
治療方針
初診時に十分に問診を行ったうえで、その病状に応じて眼振検査、電気眼振図検査、温度刺激検査、重心動揺計検査、 VEMP検査、video-head impulse test等を行います。診断・治療に関しましては、患者さんそれぞれの病態や状況に応じて最適と思われるものをカンファレンスによって決定しています。
対象となる症状
回転性めまい(ぐるぐる目の回る感じ)のする方
浮動性めまい(ふわふわ宙に浮いたような感じ)のする方
平衡障害(不安定な感じ、歩くところびそうな感じ)のある方
対象となる疾患
主として、メニエール病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、前庭神経炎、めまいをともなう突発性難聴、遅発性内リンパ水腫、両側前庭障害などの耳性めまい疾患に対する診断・治療を行っております。また、椎骨脳底動脈循環不全、 起立性調節障害、前庭性片頭痛、心因性めまいなどに対しても、診断・治療を行っております。
外来で行われる主な検査について
眼振検査
注視眼振検査を行います。また、赤外線CCDカメラ下で、頭位眼振・頭位変換眼振・振動刺激誘発眼振・頭振後眼振検査を行い、眼振を詳細に観察します。
重心動揺計検査
立位姿勢におけるからだの重心の動きを記録し、バランスの状態を正確に測定します。
ENG検査(電気眼振図検査)
電気眼振計を用いて、pursuit, saccade, optokinetic nystagmus等の眼球運動異常の有無を調べます。
温度刺激検査(カロリックテスト)
冷水を耳の中に注水し、めまいを誘発することで外側半規管の機能検査を行います。
VEMP検査(前庭誘発筋電位検査)
音刺激や骨導刺激を用いて頚部の筋肉や外眼筋におこる反射を測定し、耳石器機能の検査を行います。
Video Head Impulse Test
高速度カメラと加速度センサーを備えた装置で、三半規管由来の前庭動眼反射の機能を測定します。
この外来で行われている特別な医療について
ステロイド(デキサメタゾン)鼓室内注入療法
難治性のメニエール病や内耳性めまいに対し、ステロイド(デキサメタゾン)鼓室内投与を外来で行っております。ゲンタマイシン鼓室内注入よりもより前庭に対する侵襲の低い治療です。現在のところ、難治性メニエール病のめまいに対する長期的な制御率は約70%です。
ゲンタマイシン鼓室内注入療法
難治性のメニエール病や内耳性めまいに対し、ゲンタマイシンという薬物を耳に注入し、めまい発作を抑制する治療法です。 難治性メニエール病のめまいに対する長期的な制御率は90%以上です。
浮遊耳石置換療法
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の症例に対して行う理学療法の一種です。
この外来で行われている臨床試験・治験について
ノイズ前庭電気刺激によるバランス障害の治療
現在、当科では以下の治験を実施しています。
「重度のふらつきを有する難治性前庭障害患者における経皮的ノイズ前庭電気刺激によるバランス障害改善効果と安全性を確認するための二重盲検ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験」
前庭障害による立位・歩行時のふらつきを持つ患者さんの治療は、リハビリテーションが有効でない場合があり、その場合、現時点で有効な治療は存在しません。我々は、耳の後ろに貼った電極から、刺激を感じない程の微弱な電流を流すことで、バランス機能を改善する機器の開発を行っており、現在、第Ⅱ・Ⅲ相の治験を行っております。バランス障害の改善や転倒予防の新たな治療となることが期待されます。
臨床試験情報:https://www.clinicaltrials.jp/cti-user/trial/ShowDirect.jsp?clinicalTrialId=29117