2015年
1月 | 好酸球性副鼻腔炎では鼻茸中の好塩基球が増加し、その程度が画像上の重症度と相関することを見出しました。(Kagoya R, et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015;114(1):30-5) |
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1月 | 高分子ミセル型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いたmRNA送達システム(ナノマシン)を構築し、mRNAを用いた遺伝子治療により嗅覚神経障害を生じた動物の神経組織再生、 機能回復が得られました。これは神経障害に対するmRNAを用いた遺伝子治療の世界初の成功例であり、本研究の成果により新しい遺伝子治療用医薬としてmRNAの可能性が実証されました。 (release_20150204_mrna) |
2月 | 新しく生まれた嗅細胞は匂い入力をうけないと、既存の神経回路に組み込まれずに細胞死に陥ること、新生した嗅細胞の生死は神経細胞が生まれてから7~14日目に 匂い入力をうけるかどうかによって決められていることを発見しました。(Kikuta S, et al. Neurosci. 2015) |
2月 | 人工内耳電極を特殊なポリマーでコートすることで、手術時の蝸牛損傷を減らせることを証明しました。(Kinoshita M, et al. Acta Otolaryngol. 2015) |
3月 | 上顎癌肉腫の変異解析により、癌成分と肉腫成分において同一のMET遺伝子変異を発見しました。癌成分と肉腫成分は単一の悪性細胞から分化したものであり、c-MET阻害剤による治療が有効となる可能性を示しています。(Ando M, et al. Head Neck. 2015 Mar 17) |
5月 | 男声の声帯の高速度デジタル撮像から声帯の開閉度を示すスカラー量をいくつか抽出し、その中から過去の文献の特徴とより合致するものを選別しました。このスカラー量は音の高さとは無相関であり、音量とは負の相関があることも確認しました。(OqPaper_JVoice) |
5月 | 高速度デジタル撮像を用いて、健常者におけるnormal variation(HSDI-N-SLK)、様々な喉頭疾患における声帯振動の異常を定量的に解明しました。(HSDI-Miscellaneous) |
5月 | 慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術5万件以上のデータを基に、早期合併症(眼窩内、頭蓋内、多量出血、Toxic shock syndrome)の発生を三群(単洞・複数洞・全洞)及び各術式毎に算出し、手術範囲と総合併症発生には有意な関連がないことを明らかにしました。(Suzuki S, et al. The_Laryngoscope. 2015 May 6) |
5月 | 下咽頭癌患者に対する咽喉食摘術500例以上のデータを基に、1)咽頭皮膚瘻の発生率と危険因子及び、2)手術後の経口摂取自立までの期間および関連する要因を解析し報告しました。(Suzuk S_Head and Neck.2015) |
6月 | 嗅細胞の匂い入力と嗅細胞の細胞死の関係が東大病院だよりに取り上げられました。(toudai HP) |
6月 | 第38回 日本顔面神経学会を東京大学伊藤国際学術研究センターにて開催しました。 |
10月 | 第60回 日本聴覚医学会を京王プラザホテルにて開催しました。 |
11月 | マウス鼻内のNatural Killer Cellsの特性について報告しました。(jOkada K et al. LoS One. 2015) |
12月 | 第13回 日台耳鼻咽喉科学会を学術総合センターにて開催しました。 |
2014年
1月 | 総説「加齢に伴う聴覚障害」がAudiology Japanに掲載されました (山岨. Audiol Jpn 2014;57:52-62.) |
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2月 | 健聴者の両耳時間差検知能の個人間ばらつきの要因を心理物理学的手法で検討しました(Ochi A et al, Fron Neurosci Feb 2014)。 |
3月 | 耳の後ろに貼った電極から、刺激を感じない程の微弱な電流を流すことで、両側前庭障害 患者のバランス機能の改善が可能なことを明らかにしました。この刺激は、痛みや不快感 などの副作用を伴わず、携帯型の簡便な刺激装置で行えることから、前庭機能障害患者の みならず、高齢者のバランス障害の改善や転倒予防の新たな治療となることが期待されま す(Iwasaki S et al. Neurology in press)。 |
4月 | 上気道ウィルス感染の免疫モデルマウスを解析し、自然免疫応答で集まる好中球が放出する エラスターゼが嗅神経傷害に関与することを報告しました(Kanaya K et al, Cell Tissue Res in press)。 |
5月 | 好酸球性副鼻腔炎のポリープ中にはIgEが高濃度で存在し、またIgEのクラススイッチと産生が ポリープ中で起こっていることを報告しました(Baba S et al, Clin Exp Allergy 44: 701-712, 2014)。 |
10月 | 扁桃摘出術後の後出血は術後7日目に好発する事、小児ではステロイド投与した方が出血リスクが高いことを60,000例以上の解析で明らかにしました (Suzuki S, et al. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2014;140(10):906-10)。 この結果は特に海外で注目され、いくつかのメディアで紹介され(Healthy Living)、インタビューも受けました(MedicalResearch). |
10月 | 大手術を要したStage III/IV の進行頭頸部がん患者において合併症の有無が予後と遠隔転移に悪影響を与えることを見出しました(Omura G, et al. Head Neck. 2014 Oct 21)。 |
12月 | 急性喉頭蓋炎において、死亡や気道管理を要する重症になるリスク因子を多数礼の解析から明らかにしました (Suzuki S, et al. Laryngoscope. 2014 Dec 27)。 |
2013年
1月 | 高度難聴小児の体平衡発達における末梢前庭機能の関与につき詳細に報告しました(Inoue A et al. Audiol Neurootol. 2013;18(3):143-151)。 |
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1月 | ラットのラセン神経節の分化、発達、生存における種々の神経賦活因子の効果につき報告しました(Jin Y, et al. Cell Tissue Res. 2013;351(1):15-27)。 |
2月 | 内リンパ水腫の検出におけるMultifrequency Tympanometryの有用性につき報告しました(Yasui et al. Laryngoscope. 2012;122(10):2252-5, Sugasawa et al. Audiol Neurootol 2013;18(3):152-160)。 |
3月 | 老人性難聴の発症機序について、ヒトの疫学、遺伝子、動物実験成果を基にしたreviewを報告しました(Yamasoba T, et al. Hear Res. 2013) この論文は2013年後半から2014年にかけての数ヵ月、Hearing Researchのmost downloaded articleとなりました。 |
3月 | 「日本の中咽頭癌における乳頭腫ウイルス関与(HPV)の頻度が増加していること、HPV感染および飲酒歴が中咽頭癌の独立した予後因子であることを報告しました (Saito Y et al, Cancer. 2013 early view)。 |
3月 | 「同じ匂い受容体から情報を受け取る細胞群を選択的に可視化し、その神経活動を直接計測、比較することに世界で初めて成功し、 これらの細胞の深さ方向や横のひろがりといった空間配置によって、神経活動に違いが生じることを突き止めました。 このことは同じ受容体から情報を受け取る細胞群は、「同じ受容体からの刺激に同じように反応する」とするこれまでの定説を覆し、 「同じ受容体からの刺激に多様に反応する」巧妙な情報処理様式が嗅球の基本構造単位内に存在することを示しています。 (Kikuta et al. Neuron 2013) プレスリリース |
6月 | SKIP皮弁を用いた耳介形成+外耳道・鼓室形成術の長期成績を Plast Reconstr Surgに報告しました(Narushima M et al. Plast Reconstr Surg. 2013 ;131(6):1359-66)。 |
6月 | Mn-SODヘテロマウスでは蝸牛内の8-hydroxydeoxyguanosine発現は野生型より増加するがhydroxynonenal発現は野生型と変わらず、ABR閾値や組織変性も増悪しない事を報告しました (Kinoshita et al. Oxid Med Cell Longev. 2013)。 |
7月 | 内リンパ嚢吸収機能不全とバゾプレッシンの相加効果により、メニエール病の臨床症状に類似しためまいを来たす急性内リンパ水腫の動物モデルを作成しました (Egami N et al. Lab Invest. 2013 Jul)。 |
10月 | 脱灰した蝸牛をoptical coherence tomographyで観察し、内リンパ水腫やコルチ器の変性を検出できることを報告しました(Kakigi et al. Audiol Neurootol. 2013;18:335-43)。 |
2012年
1月 | シスプラチンをミセル化することで抗腫瘍活性を維持したまま聴器毒性が抑制されることを報告しました(Baba M et al. J control Release 2012 Jan 10;157(1):112-71)。 |
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2月 | 一般向け講演会「人工内耳:原理・適応・成績・最近の進歩」を東京大学山上会館にて開催しました。 |
5月 | 音響外傷・騒音性難聴に関する重要な基礎研究と今後の展望に関するreviewがSpringer Handbook of Auditory Researchに掲載されました。 |
12月 | アポトーシス抑制物質Bcl-xlを改変したFNKをprotein transduction domain(TAT)と結合したタンパク質を蝸牛窓膜上に局所留置すると蝸牛に幅広く長時間分布し、 アミノ配糖体による有毛細胞障害を抑制することを報告しました(Kashio A et al. Gene Ther. 2012;19(12):1141-9.) |
2011年
1月 | 制がん剤の薬剤耐性を克服するドラッグデリバリーシステムの研究がScience Translational Medicineの表紙を飾り、 日本経済新聞、毎日新聞、NHKニュースなどで紹介されました。(Murakami, et. al, Science Translational Medicine 3, 64ra2, 2011) |
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2月 | メチマゾールによる障害モデルを用い、 マウス嗅覚上皮の障害後の再生能力が加齢とともに低下することを詳細に報告しました。(Suzukawa K et al, J Comp Neurol. 2011 Feb 24) |
3月 | 生体リアルタム共焦点顕微鏡システムを用いて、カチオン性ポリマーのポリエチレングリコール修飾による生体適合性・ 血中滞留性の向上をはじめて直接的に証明しました(Nomoto T et al, J Control Release. 2011 Mar3) |
4月 | 松本有先生が第51回科学技術週間 科学美術における「美」パネル展に出展した「がん細胞にくすりを届ける」が優秀作品として選ばれ、科学技術団体連合から表彰されました |
6月 | 馬場美雪先生が第27回日本DDS学会にて優秀発表者賞を受賞しました。受賞タイトル「シスプラチン内包高分子ミセルによる内耳障害軽減効果」 |
9月 | 馬場信太郎先生の津波による副鼻腔炎論文がLancetに掲載されました(Baba S et al. Lancet. 2011;378(9796):1116) |
10月 | 「高分子ミセルのサイズ効果:精密粒径制御に基づく難治がん治療」の研究がNature Nanotechnologyに掲載されました (Cabrai H, Matsumoto Y et al. (Published online: 23 October 2011; doi:10.1038/nnano.2011.166)。また、本成果が毎日新聞、産経新聞、読売新聞などで紹介されました。 |
12月 | SKIP皮弁を用いた耳介形成+外耳道・鼓室形成術の手術法がJ Plast Reconstr Aesthet Surgに掲載され、 表紙を飾りました(Narushima M et al. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011 Dec;64(12):1580-4.;. |
12月 | 「小児難聴の治療をめぐる諸問題」に関する総説がAudiology Japanに掲載されました (山岨. Audiol Jpn 2011;54:649-664.) |
2010年
2月 | 一般向け講演会「小児難聴に対する診断・治療の最前線」を東京大学山上会館にて開催しました |
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6月 | 老化に伴いマウス嗅上皮細胞の再生過程が遅延するこを示しました(Kondo K et al. J Comp Neurol. 2010 Jun 1;518(11):1962-75) |
7月 | ラットは左右の鼻孔からの匂いを嗅ぐことで匂いの方向を識別しますが、その神経回路は不明でした。 今回前嗅核外側(anterior olfactory nucleus pars externa)が左右嗅覚識別を司っていることを明らかにしました。 この研究はPNASの表紙とmedia selectionに選ばれ、新聞でも紹介されました(Kikuta S et al. Proc Natl Acad Sci USA 2010 July 6, 107:12363?12368. |
8月 | 下前庭神経障害の姿勢制御に対する影響について気泡ゴムを用いた新知見を報告しました(Fujimoto C et al. Clin Neurophysiol. 2010 Aug; 121(8):1279-84.) |
10月 | ドラッグデリバリーシステムの体内動態を直接観察できる生体リアルタイム共焦点顕微鏡システムを構築しました (Matsumoto, Y, et. al., Biomed. Opt. Express. Oct 21:2010:1; 1209-1216) |
10月 | 第55回日本音声言語医学会を学術総合センターにて開催しました。 |
12月 | 内耳有毛細胞の発生系統をEGFPで可視化できるマウスを確立し、内耳発生の詳細を解析できることが可能になりました (Fujimoto C, et al. J Comp Neurol. 2010 Dec 1;518(23):4702-22.) |
2009年
1月 | 一般向け講演会「高度難聴児に対する人工内耳の現況と展望」を東京大学山上会館にて開催しました |
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2月 | 歌の歌詞と旋律における予想外のエラーによって選択的に調整される聴覚皮質半球の優位性について報告しました (Yasui et al. Hum Brain Mapp. 2009 Feb;30(2):588-601). |
3月 | 骨導による眼筋由来の前庭誘発筋電位(oVEMP)の由来に関する重要な証拠を報告しました (Chihara Yet al, Clin Neurophysiol. 2009 Mar;120(3):581-7; Iwasaki et al., Clin Neurophysiol. 2009 Mar;120(3):588-93.. |
3月 | 嗅神経とBowman腺の加齢による変化について詳細な検討を行い報告しました(Kondo et al. Cell Tissue Res. 2009 Mar;335(3):489-503. ) |
6月 | 外来遺伝子であるプラスミドDNAを用いて、カチオン性高分子と解離し脱凝縮することが宿主細胞の転写プロセスを利用するために重要であることを初めて直接的に示しました (Matsumoto Y et al. J Gene Med. 2009 Apr 27) |
7月 | 第3回聴覚アンチエイジング研究会を開催しました。 |
11月 | 加齢に伴う蝸牛内細胞のアポトーシスにBakが重要な役割を果たすこと、酸化ストレスが上流で関与することを報告しました (Someya et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2009 Nov;106(46):19432-7). |
12月 | ビタミンCの欠乏により老人性難聴が加速することを示しました(Kashio et al. Biochem Biophys Res Commun. 2009 Dec;390(3):394-8). |
2008年
7月 | ミトコンドリアDNA変異が蓄積すると老人性難聴が引き起こされる機序を報告しました(Someya et al. Neurobiol Aging. 2008 Jul;29(7):1080-92). |
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10月 | 前庭神経節細胞のカリウムチャンネル特性について初めて報告しました(Iwasaki et al. J Neurophysiol. 2008 Oct;100(4):2192-204) |
11月 | 片方の鼻が詰まったときにもう片方の鼻の感度が高まるように脳が働いていることを報告し、 メディアにおいて多くの反響がありました(Kikuta S et al. J Neurosci. 2008 Nov 12;28(46):11989-97) |
2007年
2月 | メチマゾールによるラットの嗅覚障害はCaspase 9を介するアポトーシスで引き起こされることを見出しました (Sakamoto et al. J Neurosci Res. 2007 Feb 15;85(3):548-57.) |
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3月 | 国際シンポジウム(International Mini Symposium on Auditory and Vestibular Neuropathy)を開催しました |
4月 | ヒトの口腔咽頭扁平上皮癌の発がんにおけるアルコールおよびアルデヒド脱水素酵素の遺伝子多型の影響を報告しました (Asakage et al. Carcinogenesis. 2007 Apr;28(4):865-74) |
4月 | ヒトでの骨導による眼筋由来の前庭誘発筋電位(oVEMP)を誘発する方法を報告しました(Iwasaki et al. Neurology. 2007 Apr 10;68(15):1227-9.) |
5月 | アミノ配糖体抗菌薬によるモルモット蝸牛の有毛細胞障害をアポトーシス抑制タンパク質TAT-FNK投与により予防できることを報告しました (Kashio et al. J Neurosci Res. 2007 May 15;85(7):1403-12.) |
2006年
7月 | モルモット蝸牛の有毛細胞破壊後にわずかながら支持細胞のダイテルス細胞が細胞分裂を来すことを見出しました (Yamasoba &Kondo. Cell Tissue Res. 2006 Jul;325(1):23-31.) |
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10月 | ヒトの両耳聴におけるbinaural beatの脳での知覚に関するMEGの解析を行いました(Karino et al. J Neurophysiol. 2006 Oct;96(4):1927-38.). |
11月 | 第65回日本めまい平衡医学会を開催しました |
2005年
7月 | ミトコンドリアDNA変異蓄積モデルマウスに関する論文がScienceに掲載され反響を呼びました。 この動物では老人性難聴が加速することを示しました(Kujoth et al. Science. 2005 Jul 15;309(5733):481-4) |
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10月 | カロリー摂取制限がC57B6マウスの老人性難聴を予防することを見出しました(Someya et al. Neurobiol Aging. 2007 Oct;28(10):1613-22.) |