3Dプリンタ

3Dプリンタが比較的廉価に入手できるようになり、医学の分野での活用も広まってきました。
3Dプリンタは様々な会社から発売されており、種類は多く性能の幅も広くて選定は難しいですが、現在当科で保有している3Dプリンタは、Flashforge Inventorという2017年発売のFDM(熱溶解積層方式)機種です。フィラメントにはPLA(Poly-Lactic Acid、ポリ乳酸)やABS(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene))を用いますが、ABSは熱収縮性が高く反りやすい欠点があり、基本的にPLAを用いています。
耳鼻咽喉科領域では、三次元的な立体の把握が重要な臓器が多く、3Dプリンタの出力を用いることで非常に説明がし易くなり、教育の面からは有用と思われますが、一般的な民生品の出力精度は通常ノズル径で0.4mmと決して高くは無いため、術前のシミュレーションへの使用はやや困難というのが実際のところです。さらに、出力を中空に行う事はできないため、サポート材という中空の支えも一緒に出力する必要があるため、実際の出力とサポート材との区別がやや難しいという問題もあります。2ヘッドの機種では水溶性のフィラメントでサポート材を出力することで対処できることもありますが、やや煩雑です。また、PLA樹脂は熱が加わると容易に溶融するため、側頭骨削開のシミュレーションでは溶けた樹脂がバーに纏わり付き、通常の操作はかなり難しくなります。さらに、ノズルが詰まった時の対処や、定期的なグリスアップ・ノズル交換が必要で、メンテナンスに意外と時間をとるため、機械にある程度強い人がいない場合や時間がない場合は宝の持ち腐れになってしまう可能性も高く、実臨床用のシミュレーションが主目的であれば、さらに高価な工業用の高品位機種を導入するよりも、少々費用は掛かりますが外注する方が一般的には良いと思われます。実験用の治具の出力には比較的良さそうです。
蝸牛や頭部の出力についてご興味のある方はお問い合わせ下さい。

蝸牛と三半規管の出力

頭部の出力(乳突削開をシミュレーションした)
大型のため、出力に1日以上かかりました。

先天性外耳道閉鎖症の出力例(側頭骨トリミング、左:内耳道側から、右:外から)

定期的なノズル交換が必要です(フィラメント導入筒、ノズル)