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教室の紹介(ごあいさつ)

東京大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授
東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科科長
近藤 健二
こんにちは、東京大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の近藤健二です。このホームページを訪れて下さった皆様は、耳鼻咽喉科領域の疾患をお持ちの患者様やそのご家族の方、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域に関心のある医師・研究者の方、そしてこれから耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指す若手医師の方ではないかと思います。大学病院のミッションは臨床、研究、教育の3つですが、これらについて当科の活動を少しお話しさせていただきます。
「耳鼻咽喉科」というと多くの方は中耳炎や花粉症の診療をイメージされると思います。確かにこれらのありふれた病気は耳鼻咽喉科診療の重要な対象疾患ですが、実際には耳鼻咽喉科・頭頸部外科は顔面から頸部にかけての幅広い疾患を対象としています。現代医学では診療科の区分がほぼすべて臓器別になっており(たとえば循環器、呼吸器、脳神経など)、それぞれの領域に内科と外科があって診療を行うという仕組みになっていますが、耳鼻咽喉科・頭頸部外科は臓器ではなく顔面と頸部という体の部位を診療する数少ない診療科です。ですので対象疾患には感覚器である聴覚器、平衡器、嗅覚器、味覚器、呼吸器である鼻副鼻腔・喉頭、消化器である口腔、唾液腺、咽頭、食道、そして運動器である声帯筋、嚥下筋、顔面神経といった様々な臓器があります。これらの臓器はヒトが人間らしく生きるために必要不可欠な機能を担っています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科では内科的治療から外科的治療までいろいろな方法を駆使してこれらの病気の治療にあたっています。分子生物学や医療機器の進歩に伴って耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の治療には高度難聴に対する人工内耳治療、難治性の鼻副鼻腔炎に対する生物学的製剤、頭頸部癌に対するロボット手術や光免疫療法など多くの新規治療が行われており、東京大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科ではこれら先端的な診療を安全着実に進めるため医局員が日々修練しています。
このような新規治療を開発、発展させるためには診療と並んで研究が重要です。研究には臓器の生理機能や疾患の病態を調べる基礎的な研究から、薬物治療や手術療法の効果を検証する臨床研究まで幅広いですが、当科では耳鼻咽喉科頭頸部外科領域のほぼすべての研究分野を網羅して行っております。国内外の多くの医療機関、研究機関と協力して、未来の耳鼻咽喉科頭頸部外科学の発展のために努力を重ねています。
そして3つ目の柱である教育にも力を注いでいます。当科は約30の連携施設が参加している東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門研修プログラムの基幹施設であり、毎年多くの新しい専攻医の先生がプログラムに加入します。初期研修医の皆さんは将来の進路で「どの診療科を専攻しようか・・」「どの大学のプログラムで研修すればいいのか・・」などいろいろと迷いがあることと思います。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は内科的な診療から外科的な診療まで幅広いので、入局の時点で将来のイメージがない方でも必ずその人にあった分野があります。さらに当科は医局規模が国内最大級で、どの診療分野にも国内外で活躍している指導医がいますので、臨床のトレーニングはもちろんですが研究・学位指導から先端的な診療まで指導が可能です。当科をぜひキャリアアップの選択肢の1つに考えていただければ幸いです。
当科は1899年の創設で、125年の歴史があります。初代の岡田和一郎先生は欧米の耳鼻咽喉科学を日本に導入するミッションを明治政府から与えられ、日本の耳鼻咽喉科学の黎明期に大きな役割を果たしました。そして明治、大正、昭和、平成、令和の時代の中で多くの当科出身の耳鼻咽喉科頭頸部外科医が医療と学問の発展のために努力を重ねてきました。もしお時間がありましたら本ホームページ内のデジタルミュージアムにお立ち寄りください。本ミュージアムは当科が所有する歴史的な医学資料を加我君孝名誉教授と松本有先生がデジタル化したものです。日本の近代医学の歴史ととも歩んできた当科の耳鼻咽喉科・頭頸部外科学に対する情熱を感じていただければ幸いです。