論文紹介:鼻茸治療のための治療用抗体:今後の展望について

[鼻チーム]今回紹介するのはは鼻茸を伴う副鼻腔炎(=CRSwNP)に対する抗体医療についてまとめた論文です。

難治性の気管支喘息の治療薬として使用されている分子標的薬には抗IgE抗体や抗IL-4抗体、抗IL-5抗体などが存在し、肥満細胞の活性化の抑制やTh2型の免疫応答の抑制により薬効を発揮します。同じ好酸球性の気道炎症であるCRSwNPに対してもこれら分子標的薬の治療効果について検証が進んでおり、その効果が実証され始めています。一方で、検証を通じて治療に反応するresponderとそうでないnon responderが存在することが確認されており、同一の臨床像を呈するCRSwNPの中には様々なendotypeが存在し、治療効果に差を生じている可能性が示唆されます。これらendotypeを簡便に判別できるバイオマーカーの創出も求められます。

Agarwal A, Spath D, Sherris DA, Kita H, Ponikau JU.
Clin Rev Allergy Immunol. 2019 May 10. doi: 10.1007/s12016-019-08734-z. [Epub ahead of print]

投稿者:清水 裕也/ENT-HP1