論文紹介:組織障害後の創傷治癒過程における2型免疫応答の役割について

[鼻チーム]今回の論文は2型免疫研究の第一人者であるNIHのThomas A. Wynn先生のレビューになります。

論文のポイントは「2型免疫応答に介入し正常組織修復を促すためには?
」ということです。論文は「病態ごとの2型免疫応答による繊維化・組織修復メカニズム」と「免疫応答の際の細胞別分子機構」から構成されています。2型免疫応答が正常であれば創傷治癒、過剰だと繊維化が生じる機構の概要に始まり、IL4,5,9,13を中心とした2型免疫とIL1,6,17とTGFβによる1型免疫のcross regulateの重要性について展開され、最後は最新の知見についての説明で締めくくられています。免疫機構は複雑かつ繊細正確に調整される為、単一ファクターへの介入がどれほど意味のあるこかわからないことを述べつつ、好酸球、IL4,13を抑制すると組織修復が遅延すること、IL5を選択的阻害することで好酸球性喘息、好酸球増多症の臨床症状が改善したことを紹介しています。今後、好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎などの耳鼻科疾患の病態解明や創薬につながるかもしれません。

Gieseck RL 3rd, Wilson MS, Wynn TA

Type 2 immunity in tissue repair and fibrosis.

Nat Rev Immunol. 2018 Jan;18(1):62-76. doi: 10.1038/nri.2017.90. Epub 2017 Aug 30.

投稿者:岸本 めぐみ/ENT-HP1