論文紹介:前庭誘発筋電位の実用:検査法、注意点、臨床応用

[めまいチーム] 今回の論文は、前庭誘発筋電位(VEMP)の検査法・注意点・臨床応用に関して、オーストラリアのシドニー大学、Sally M. Rosengren先生がまとめたレビューです。

VEMPは耳石器を音・振動で刺激することで誘発される筋電位を測定する検査法であり、cVEMPは1994年、oVEMPは2005年に原理が発見された歴史的にも新しい検査です。検査の簡便性・有用性から耳石器機能の評価に欠かせない検査となってきており、様々な耳石器・前庭疾患でVEMP異常が報告され、特に上半規管裂隙症候群では診断に欠かせない検査となっています。

今回のレヴューでは論理的背景を基に刺激法・測定法について説明し、典型的な検査法や注意点について詳述しております。また、最後の章では前庭障害を引き起こす典型的な症例について、VEMPのみならずaudiogram、caloric testやvHITの結果を提示することで包括的に内耳機能を評価する有意性を示しております。VEMP検査に興味がある方、前庭機能検査による評価に関心がある方に役立つレヴューです。

Vestibular evoked myogenic potentials in practice: Methods, pitfalls and clinical applications.

Rosengren SM, Colebatch JG, Young AS, Govender S, Welgampola MS
Clin Neurophysiol Pract. 2019 Feb 26;4:47-68. doi: 10.1016/j.cnp.2019.01.005. eCollection 2019.
PMID: 30949613

 

投稿者:竹内 成夫/ENT-HP1