BrüningsのPolylaryngoskop

岡田ミュージアムの中でもとりわけ大きくて目立つのがBrüningsのPolylaryngoskopです。Brüningsは1900年頃にドイツのイエナ大学で活躍した耳鼻咽喉科医です。フライブルグのGustav Killianと協力して気管支鏡や喉頭鏡を作成しました。Brüningsは1913年に開催されたドイツ喉頭科学会でPolylaryngoskopを発表し、デモンストレーションも行いました。術者が正面で手術をしている際に8人の学生が見学することができます。Denker und Kahler著耳鼻科全集(1926年)にもPolylaryngoskopの記載があります。以降、第2次世界大戦(1940年頃)まで主に教育病院で使用されていました。

当科初代教授岡田和一郎先生は1896-1899年(明治29-32年)の4年間ドイツ留学、1916年(大正5年)にアメリカ旅行、1922年(大正11年)にアメリカおよびヨーロッパ旅行をしています。毎回、多くの大学や病院を訪問して手術見学と意見交換を行い、医療器械店や書店に立ち寄り大量に購入して日本に発送しています。岡田先生の3回目の洋行でフライブルグを訪れた際に講堂にPolylaryngoskopを見つけたと記録が残っています(岡田和一郎傳391ページ)。

Zeiss製Brünings Polylaryngoskop

Zeiss製Brünings Polylaryngoskopの中央部分。上から光を入れる鏡、術者が見る中央のレンズ、見学者用の4つのレンズがあります。見学用の筒はさらに2つに分配され、合計8人が見学できます。

Denker und Kahler著耳鼻科全集の該当箇所