論文紹介:受容体共役タンパク質キナーゼは騒音誘発性感覚有毛細胞死を調節する

[耳チーム] 今回の抄読会ではネクロトーシスをとりあげました。

ネクロトーシスは従来のネクローシスとアポトーシスについで新たに確立された“プログラムされたネクローシス”という概念です。ネクロトーシスが生じた細胞は形態学的にはネクローシスに類似し、分子機構としては主にRIP1、RIP3、MLKL系で制御されることが分かってきました。提示した論文では騒音性難聴モデルマウスにおいて外有毛細胞死にアポトーシスとネクロトーシスが関連し、どちらかの経路を阻害すると残された経路で細胞死が起こり、両方の経路を阻害すると有毛細胞死を減少させた結果、難聴(聴性脳幹反応)が軽減されたことを示しています。内耳障害におけるネクロトーシスとアポトーシスの知見を深め細胞死を防ぐことができれば、将来的に難聴治療の1つの手段となるかもしれません。

Receptor-interacting protein kinases modulate noise-induced sensory hair cell death.

Zheng HW, Chen J, Sha SH.

Cell Death Dis. 2014 May 29;5:e1262. doi: 10.1038/cddis.2014.177.

PMID: 24874734

 

投稿者:木下 淳/ENT-HP1